UV塗装は非常に高性能で、近年様々な場面で使用される機会が増えています。しかし、UV塗装の存在は知っていても、どんな特徴を持っているのか知らない方も多くいらっしゃると思います。
また、よく比較対象になる塗装方法として、ウレタン塗装がありますが、UV塗装と比べて、どのような違いがあるのか分からないことも多いはず。
この記事では、UV塗料の特徴とメリット、デメリットを解説します。合わせてウレタン塗装の特徴と、UV塗装との違いを説明します。ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
1.UV塗装の特徴とは?
2.UV塗装のメリット
2-1:塗料の硬化時間が短い
2-2:塗料の耐久性が高い
3.UV塗装のデメリット
3-1:専用のUV照射設備が必要
3-2:初期コストが高くなる場合がある
4.UV塗装とウレタン塗装の比較
比較1:耐久性の比較
比較2:費用面の比較
比較3:施工性の比較
5.UV塗料とウレタン塗料の選び方
6.まとめ
UV塗装の特徴とは?
UV塗装の特徴は、UV塗料に紫外線(UV)を照射することで、塗料を硬化させるのが1番の特徴です。
※自然乾燥では硬化せず、15分ほどUV照射することで硬化します。
通常の塗料は自然乾燥させるため、塗料の硬化に時間がかかりますが、UV塗料はUV照射装置を用いて短時間で塗料を硬化させることが可能です。
また、ハンディタイプのUV照射装置があるため、あらゆる素材にUV塗装ができるようになっています。具体的には、車の部品の一部、木製家具やフローリング、家電、プラスチック製品など幅広い素材にUV塗料は使われています。
UV塗装のメリット
UV塗料の特徴を理解して頂いたところで、メリットを解説します。代表的なメリットを2つ紹介していきますので、参考にしてみてください。
①塗料の硬化時間が短い
UV塗装のメリット1つ目は、他の塗料に比べて塗装の硬化時間が短いことです。従来の塗装は自然乾燥させるのが一般的で、塗装の硬化に数時間から数日かかるのが当たり前でした。
しかし、UV塗装は紫外線(UV)を照射することで、数秒から長くても数分で塗装の硬化が可能です。
UV塗料の種類や塗膜の厚さによって硬化時間は前後しますが、硬化時間が短くなったことで作業効率が大幅に上昇しました。さらに、粉塵などが付着するリスクを軽減できるため、仕上がりもキレイになります。
②塗料の耐久性が高い
UV塗装は硬化後、耐候性の高い塗膜を作ります。UV塗装の塗膜は、紫外線への耐性も高いため、色あせを防ぎ、長期間に渡ってキレイな仕上がりを保つことが可能です。
また、硬度3Hの硬い塗膜のおかげで、摩耗や薬品に対する耐久力もあり、工業製品や機械部品など、耐久力が求められる製品にUV塗装は施されています。
硬度を表す「H」とは、鉛筆硬度で表しHは鉛筆のHの硬さを意味します。
3Hとは鉛筆硬度の3Hを意味し数値が上がれば上がるほど固いことを意味しています。
ウレタン塗料は一般的にH~2Hとされており、爪で強く抑えると傷がつく程度の硬さがH~2Hとされています。「爪の硬さ=2H」とされているのが一般的です。
UV塗装のデメリット
メリットの次に、デメリットについても解説します。
メリット、デメリットの両方を知ることで、UV塗装への理解をより深められます。
専用のUV照射設備が必要
UV塗装には、必ず専用のUV照射設備が必要です。UV照射設備がなければ、UV塗料を完全硬化することができないので、UV塗装はできません。
最近では、ネイルの硬化用ライトとして、UVライトは広く普及しており、小さい範囲の塗装であれば比較的簡単に施工できます。しかし、広範囲となるとUV照射が狭く非効率となってしまうため専用の設備が必要となってしまいます。
<UV照射機 最適な波長>
おもしろ塗装工房で販売しているUV塗料は
短波長250~350nm(ナノメーター)が一番最適に硬化する波長といわれています。
初期コストが高くなる場合がある
UV塗料は高い耐久性と、良質な仕上がりが魅力ですが、その分塗料の価格も高価です。塗料の他に、先ほど説明したUV照射設備も必要になるため、初期コストが高額になります。
手軽なUV照射設備でも3,000円~1万円はしますし、高額なものだと100万円以上します。個人で利用するには金額の負担が大きくなるので、最初はネイル用照射機などをお勧めしますが、波長など確認する必要があるため導入は慎重におこなうべきです。
作業効率向上と耐久性は魅力的なので、これらを重視するならば、前向きに検討しましょう。
ウレタン塗装の特徴
この記事で比較対象になっている、ウレタン塗装の特徴について解説します。
ウレタン塗装は塗膜が柔らかく、衝撃やひび割れに強いのが特徴です。よく比較されるアクリル塗装よりも耐久力もあり、バランスのとれた塗料なので、自動車の塗装や家具など、幅広く利用されています。
UV塗装とウレタン塗装の比較
ここからは、UV塗装とウレタン塗料の比較をしていきます。
耐久性、費用面、施工性の3つを比較しますので、どちらの塗装を選択するかの参考材料にして下さい。
比較1:耐久性の比較
1つ目の比較は、耐久性です。
【UV塗装】
紫外線や摩耗、薬品に対して優れた耐久性があります。UV塗料の中に含まれるシリコンやフッ素などの成分によって、耐用年数は変わりますが、耐用年数は概ね10〜20年です。
なかには、耐用年数が20年以上のものもあります。耐用年数も長いため、長期的に塗装物を保護してくれます。
【ウレタン塗装】
塗膜が柔らかいため、衝撃に強く耐久力もありますが、UV塗装に比べると紫外線に若干弱く、耐用年数も若干ですが短いです。耐用年数は概ね7〜15年となっていますが一般的には車と同じように10年以上は耐候性はあると認識してください。
比較2:費用面の比較
2つ目の比較は、費用面です。
【UV塗装】
UV塗装は、UV照射設備の導入が必要なため、初期投資は高額です。しかし、UV塗装は耐久性が高いので、長期的に塗装物を保護してくれます。頻繁に再塗装する必要も無いので、手間を少なくしたい方や、作業効率を重視する場合は高額でもUV塗装はおすすめです。
【ウレタン塗装】
UV塗装と比べると、UV照射設備が必要でないため、初期費用は抑えられます。
しかし、耐用年数がUV塗料と比べると若干短いので、その都度費用や手間がかかってしまいます。
比較3:施工性の比較
3つ目の比較は、施工性です。
【UV塗装】
専用の設備が必要で、UV塗装に関する知識も必要ですが、塗料の硬化時間が短いため、生産性は高いです。UVを照射すれば数秒から数分で硬化し、スピーディーに施工を進められます。
【ウレタン塗料】
ウレタン塗料はDIYでも広く利用されていて、扱いやすいですが、塗料の硬化時間が長いため、作業効率が悪くなります。
表面の硬化時間は20℃で約1〜3時間で、完全に硬化するまでに20℃で約5〜7日かかります。塗料の硬化時間も含めて余裕を持ったスケジュールの作成が必要です。
UV塗装とウレタン塗料の選び方
UV塗装とウレタン塗装の特徴を理解して頂いた所で、どちらの塗装を選べば良いのか解説します。
何を重視するのかで選ぶ塗装が変わりますので、自分が何を重視しているのかを確認しながら読んでみてください。
耐久性で作業性を重視するならUV塗装
耐久性はUV塗装の方が優れています。耐用年数が10〜20年と長いので、屋外など耐久性の求められる環境においては、UV塗装を選択するといいでしょう。
費用面で選択するならウレタン塗料
初期費用を抑えたい場合や、規模の小さい塗装には、ウレタン塗装を選択するといいでしょう。
UV塗装は、UV照射設備の導入などでどうしても初期費用が高額になります。ちょっとしたDIYで塗装するのであれば、ウレタン塗装の方が手軽にチャレンジできます。
生産性で選択するならUV塗装
塗料の硬化時間を短縮したい場合や、規模が大きく、生産性を重視したいのであれば、UV塗装を選択した方がいいでしょう。
塗料の硬化時間が短いことで、作業効率が大幅に上がりますので、短い期間で塗装を終わらせたい方におすすめです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
この記事では、UV塗料の特徴とメリット、デメリットを解説します。合わせてウレタン塗装の特徴と、UV塗装との違いを説明します。ぜひ最後まで読んでみてください。
UV塗装は、紫外線(UV)を照射することで、塗料の硬化時間を短縮でき、耐久性が高いのが特徴の塗装方法です。初期費用は高額になるデメリットはありますが、それ以上にメリットがあります。
ウレタン塗装と比べると、耐久性と生産性が優れており、予算に余裕がある方はUV塗装の選択をおすすめします。規模や用途に応じて、自分にあった塗料を選択して下さい。