ウレタンクリア塗装後のヘッドライトにトラブル!ゆず肌・白化の研磨方法を解説


ヘッドライトにウレタンクリアを塗装することは、劣化したヘッドライトをキレイに仕上げるのに有効な手段です。しかし、ヘッドライトにウレタンクリアを塗装したあとに、ゆず肌や白く濁ったりした経験はありませんか?

せっかく塗装したのに、キレイに仕上がらなければ時間と労力が無駄になってしまいます。

この記事では、ヘッドライトにウレタンクリアを塗装したあとに、研磨が必要なケースについて解説していきます。正しい研磨方法も解説しますので、ヘッドライト塗装をキレイに仕上げるのに役に立つはずです。

目次

1.ウレタンクリアを塗装した後に研磨が必要なケース
 ケース1:塗装表面に軽度のゆず肌が発生
 ケース2:軽度の液だれ
 ケース3:塗装表面が白く濁る
2.【原因3選】ウレタンクリアを塗装した後に起こるトラブル
 2-1:ゆず肌の原因
 2-2:液だれの原因
 2-3:白く濁る原因
3.塗装を失敗しないために環境を整えることも大切
 3-1:高温時や低温時を避ける
 3-2:湿気の高い日に塗装しない
 3-3:【野外塗装限定】強風の日は塗装しない
4.塗装の修正が必要な場合の正しい研磨方法
5.研磨する適切なタイミング
6.再塗装が必要な場合の判断基準
7.まとめ

ウレタンクリアを塗装した後に研磨が必要なケース

前提として、ヘッドライトにウレタンクリアを塗装して、キレイに仕上がれば必ずしも研磨する必要はありません。しかし、以下の3つの状態になった場合は、研磨を検討してみてください。

ケース1:塗装表面に軽度のゆず肌が発生

ゆず肌とは、ゆずの皮のように塗装表面が凸凹になってしまう状態を指します。見た目が悪くなるだけでなく、光が乱反射してしまうので、ヘッドライトの透明感も失ってしまいます。

ゆず肌の原因はいくつか考えられます。塗料の乾燥が早すぎるために、スプレーガンからヘッドライトに塗料が塗着するまでに塗料が乾いてしまっている。
これは、スプレーガンとヘッドライトの距離が離れすぎているためか、もしくは乾燥の早いウレタンクリアーを使用している、またはスプレーガンの口径が小さすぎるか、になります。
その場合の距離は1.3口径程度の一般的なスプレーガンなら約10㎝~15㎝程度の距離で吹くようにしましょう。吹いた直後はしっかりと濡れ肌(光が映り込む)程度までしっかりと塗料を乗せることを意識してください。
もしゆず肌が発生したときは、塗装表面を平滑にする必要がありますが、軽度のゆず肌であれば研磨可能です。
ゆず肌になった塗膜を#1000程度の耐水ペーパーでザラツキが無くなるまで研磨しましょう。

ケース2:軽度の液だれ

塗装の液だれは、塗料を厚く塗りすぎると発生する現象です。
軽度の液だれのであれば研磨可能ですが、凹凸が大きい深い液だれは、研磨での対処が難しいです。

ケース3:塗装表面が白く濁る

ウレタンクリアを塗装したあと、塗装が白く濁るときがあります。塗料に湿気などの水分が含まれることで発生します。
特に雨の日など湿度が80%を超えるようなときに、発生しやすい現象となるため、雨の日の塗装は極力避けるようにしましょう。湿度70%以下でしたら白濁(かぶり現象)を起こすことはないでしょう。

塗装表面だけが白く濁っているだけであれば、#1000程度で研磨し再塗装を試みてください。ほとんどの白濁は解消できます。

【原因3選】ウレタンクリアを塗装したあとに起こるトラブル

ウレタンクリアを塗装したあとに、塗装のトラブルがなぜ起こるのかの原因を解説します。
代表的な原因を3つ紹介しますので、参考にしてみてください。

ゆず肌の原因

ゆず肌が発生する主な原因は以下になります。

ゆず肌になる原因詳細
スプレーガンの吐出圧力が低い塗料が十分に霧化できなくなり均一に塗装出来ない
塗料の粘度が高すぎる塗料が十分に霧化できなくなり均一に塗装出来ない
塗装距離が遠すぎる塗料が途中で乾燥しながら付着するので、うまく馴染まない
高温時に塗装して速く乾燥する塗料が自然に平滑になる前に乾燥してしまう
強風時に塗装して乾燥が速くなる速く乾燥してしまい、塗料が平滑にならない
重ね塗りの回数が少ない塗膜の厚みが不足し凹凸が発生する
塗料の塗布量が少ない塗膜が十分に形成されない

ゆず肌は主に塗料の塗布量が少ないことや距離が離れすぎていることで発生します。
何度かに分けて重ね塗りをすることで、塗膜を厚くでき、ゆず肌を防げるようになります。

液だれの原因

液だれが発生する主な原因は以下の通りです。

液だれになる原因詳細
塗料の塗布量が多すぎる1度に厚く塗りすぎると塗料が垂れる
塗装距離が短すぎる塗料が1点に集中して垂れる
塗料の粘度が低すぎる塗料を薄めすぎると流れやすくなる
低温時に塗装して乾燥が遅くなる乾燥が遅くなると塗料が流れやすくなる
湿度が高すぎて乾燥が遅くなる乾燥が遅くなると塗料が流れやすくなる
強風時に塗装する風の影響で塗料が均一にならずに流れてしまう

液だれは主に塗料の量が多すぎることで発生します。
1度に厚く塗ってしまうと液だれの発生リスクが高くなるので、何度かに分けて重ね塗りをしましょう。

白く濁る原因

ヘッドライトが白く濁る原因は以下の通りです。

白く濁る原因詳細
湿度が高い空気中の水分が塗料に吸収される
低温時に塗装して乾燥が遅くなる乾燥が遅くなると水分が内部に閉じ込められてしまう
厚塗りしすぎてしまう塗料内部の水分が抜けにくくなる
ヘッドライトに水分が付着している下地の水分を塗料が吸収してしまう
塗装後湿度の高い風をあてる湿度80%以上で吹いた後に、扇風機を当てたり低い場所で乾燥させる

ヘッドライトの白の濁りは、水分が主な原因です。
湿気の多い日を避けることで、白く濁るリスクは大幅に軽減できます。

塗装を失敗しないために環境を整えることも大切

塗装が失敗する要因を紹介しましたが、失敗のリスクを少なくするための環境を整えることも大切です。これからお伝えする3つの条件のときは、塗装するのを見送った方がいいので覚えておいてください。

高温時や低温時を避ける

塗装する際は適切な温度(15℃〜25℃)で行うのが理想ですが、季節によって気温は大きく変動します。
例えば、真夏(35℃以上)のときは、乾燥が速くなりすぎるので、ゆず肌の原因になります。

逆に、真冬(5℃以下)のときは、ウレタン塗料の化学反応が極端に遅くなるので、液だれや白く濁る原因になりますので、塗装は避けた方が無難です。
どうしても温度が低い場所で行う必要がある場合、商品自体を人肌程度まで温めたり室温を20度前後まで温めて塗装するなど、塗装環境を整える事で対策できます。

湿気の高い日に塗装しない

梅雨時期や雨の日は湿度が高くなるので、塗装は避けた方がいいでしょう。湿度が高いと乾燥が遅くなってしまい、液だれの原因になりますし、塗料が水分を吸収して白く濁る原因になります。

湿度が80%を超える日は避けて、晴れの日に塗装を実施しましょう。

【屋外塗装限定】強風の日は塗装しない

屋外で塗装するときは、風の強さも気にしなければなりません。強風のときは、ゴミやホコリが付着しやすくなります。

また、ゆず肌や液だれの原因にもなりますし、塗料が飛散してしまうので、仕上がりが悪くなる可能性があります。

塗装の修正が必要な場合の正しい研磨方法

塗装後に研磨が必要になった場合の正しい方法を解説します。ウレタンクリア塗装が問題なく完了した方は、必ずしも研磨する必要はありません。軽度のゆず肌、液だれ、白化してしまった方はぜひ読んでください。

必要な道具の準備

最初に研磨に必要な道具を準備します。
必要な道具は以下の通りです。簡単に手に入るものばかりですので、初心者でも安心です。

Step1:ヘッドライトの周りを養生する

ヘッドライトを研磨する前に、ヘッドライトの周りをマスキングテープで養生します。養生しないと研磨の際にボディを傷つける恐れがありますので、必ず養生しましょう。

Step2:耐水ペーパーで磨く

1200〜1500番の耐水ペーパーを使用し、液だれやゆず肌で発生した凹凸を平滑になるように研磨します。研磨する際は、たまに水をかけながら研磨すると耐水ペーパーの目詰まりを防げます。

塗装表面が平滑になりましたら、耐水ペーパーを2000番の細かい目に切り替えて、研磨跡を消していきましょう。最後に、削りカスを洗い流して水分を拭き取りましょう。

研磨の際は、塗装表面に細かい傷がつくため、白く濁る場合がありますが、コンパウンドでしっかり磨く事で透明になっていきます。

Step3:最後にコンパウンドで仕上げる

コンパウンドで仕上げをしていきますが、コンパウンドは3種類(粗目、細目、仕上げ用)を使用すると効果的です。まず、粗目から細めのコンパウンドに変えて磨いていくことで、研磨跡を消していきます。

研磨する適切なタイミング

研磨する際は、研磨のタイミングも重要で、ウレタンクリアを塗装後、最低でも3日~7日乾燥させたあとにするのが理想です。

しっかり乾燥させないと、研磨の時に塗膜が剥がれたり、曇りが発生してしまうリスクがありますので、使用するウレタンクリア塗料の乾燥時間を確認してから研磨した方が良いです。

また、研磨する前に指の爪で軽く押してみたりして、跡がつかないかチェックしましょう。

再塗装が必要な場合の判断基準

軽度な塗装トラブルは研磨できるとお伝えしましたが、再塗装が必要になるレベルの塗装トラブルはどれくらいなのかを知りたい方も多いでしょう。

ここでは、再塗装が必要な塗装トラブルの判断基準を解説します。

ウレタンクリアが剥がれてしまっている

塗装表面のウレタンクリアが剥がれている場合は、研磨では対応できません。塗膜も弱くなっているので、再塗装を検討してください。

研磨する前に、ウレタンクリアが剥がれたり浮いたりしている箇所触ってをチェックし、研磨可能か判断しましょう。

液だれが深く凹凸が大きい

深い液だれは塗膜の凹凸が大きいので、研磨しても均一な仕上がりになりません。

指で触ってみて凹凸が大きい場合や、磨いても塗膜が平滑にならない場合は、キレイに仕上げるのは困難なので再塗装を検討しましょう。

白い濁りが塗装の内部まで浸透している

白い濁りが表面のみの場合は研磨で対応できますが、塗膜の内部まで濁っている場合は、研磨しても改善できません。

少し研磨してみて、白い濁りが解消されないようであれば、塗膜の内部まで濁りが浸透しているので、再塗装が必要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
この記事では、ヘッドライトにウレタンクリアを塗装したあとに、研磨が必要なケースについて解説してきました。

ヘッドライトのウレタンクリア塗装後に、ゆず肌、液だれ、白く濁ったときは、軽度であれば研磨で対応可能ですが、重度の場合は再塗装が必要になります。

真夏や真冬の時期は、高温または低温のため、塗装をおすすめできませんし、強風の日や湿度が高い日も塗装の失敗のリスクが高いです。

失敗を防ぐためにも、この記事を参考にして頂き、ヘッドライトのキレイな仕上がりを目指してみてください。


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