【保存版】スプレーガン塗装の基本|塗料の希釈方法と作成手順を解説します


スプレーガンは作業効率が上昇し、広範囲に塗装が可能になるので、ぜひ活用したい道具です。
しかし、缶スプレーのように缶を振ってすぐ塗装出来るわけではなく、塗料を自分で作成しなければなりません。

塗料を作成するといっても初心者の方は、「どんな塗料が使用可能」で、「どういう手順で塗料」を作ればいいのか分からないと思います。

この記事ではスプレーガンで使用可能な塗料と、塗料の希釈方法について解説します。スプレーガン塗装における塗料の作り方の基本が理解できますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

目次

1.スプレーガンで使用可能な塗料とは?
 1-1:スプレーガンで使用可能な代表的な塗料
2.ホームセンターの塗料はスプレーガンで塗装可能?
3.【塗料の作り方】スプレーガン用の希釈方法|手順を紹介!

 Step1:塗料と希釈剤の準備
 Step2:塗料の計量と混合
 Step3:粘度の確認
 Step4:テストスプレー
4.スプレーガン用の塗料を作る時の注意点は?
 4-1:スプレーガンのノズル口径が異なる
 4-2:塗料によって希釈用のうすめ液が異なる
 4-3:スプレーガン使用後はしっかり洗浄
5.まとめ

スプレーガンで使用可能な塗料とは?

最初に、スプレーガン塗装に利用できる代表的な塗料をご紹介していきます。それぞれの塗料の特徴も合わせて説明しますので、必要に応じて使い分けましょう。

スプレーガンで使用可能な代表的な塗料

塗料の種類特徴
アクリル塗料・ツヤがある
・発色が良い
・乾燥が早い
・紫外線に弱い
・塗膜が硬いため、ひび割れが起こりやすい
ウレタン塗料・耐候性がある
・耐溶剤性に優れている
・光沢性が高い
・紫外線に強い
・塗膜に柔軟性があるため、ひび割れしにくい
ラッカー塗料・乾燥時間が短い
・発色が良い
・紫外線に弱い
・塗膜が薄いため、屋外には不向き
エナメル塗料・傷、摩耗に強い
・汚れが付きにくい
・滑らかで光沢のある仕上がりになる
・色あせが起こりにくい
・プラスチックの耐久力をさげてしまう
・乾燥時間が長い

このように、それぞれの塗料の性質は異なります。
塗装用途に合わせて、必要な塗料を選択するようにしてください。

上記の塗料であれば水性、油性どちらでも問題ありませんが、「他の超高粘度の塗料」や、「大きい粒子が混ざっている塗料」などは、スプレーガンで吹き付けた際に、霧状にならなかったり目詰まりの原因になり、使用できませんので注意してください。

ホームセンターの塗料はスプレーガンで塗装可能?

ホームセンターでも沢山の種類の塗料を販売しておりますが、スプレーガン用としてで使用するのはおすすめではありません。

理由は、ホームセンターにある塗料は、刷毛で塗装することが前提の塗料が多いため、スプレーガン用の希釈率の設定がないからです。

製品に記載してある希釈率以上に薄めれば、スプレーガンでも吹き付けることは可能だと思いますが、塗料の性能が落ちてしまいますので二度塗り三度塗りする必要があります。

また、スプレーガン用に塗料を作成する場合、適正な希釈率が不明なため、塗料が適切な粘度になるまで細かく調整が必要なので効率が悪くなります。

以上の事を踏まえると、ホームセンターで販売している塗料でスプレーガン塗装するのはやめておいた方が良いでしょう。

【塗料の作り方】スプレーガン用の希釈率方法|手順を紹介!

次に、スプレーガン用の塗料の作成方法を紹介していきますので、手順をしっかり覚えて仕上がりのキレイな塗装を目指しましょう。

Step1:塗料と希釈剤の準備

まずは塗料の作成に必要な物を準備します。

【塗料】塗装対象物に応じた塗料を用意しますが、2液性塗料の場合は硬化剤も必要ですので、準備しましょう(塗料と硬化剤がセットの商品もあります)。

【うすめ液】スプレーガンで塗装するためには、塗料を薄める必要があります。後述しますが、薄め液には各塗料にあった専用薄め液があるので、購入の際は注意しましょう。

Step2:塗料の計量と混合

必要なものを準備したら、塗料の説明書に希釈率の記載がありますので、まずは希釈率を確認しましょう。

例えば、1液性塗料で希釈率が20%だった場合、塗料100gに対して20gのうすめ液が必要になります。分量を間違えると塗料の性能が落ちてしまいますので注意が必要です。

また、2液性塗料の場合は硬化剤と塗料を混ぜ合わせてから、うすめ液を入れる必要があります。塗料と硬化剤の比率が10:1の場合、塗料100mlに対して硬化剤が10mlで混ぜ合わせます。10(主液):1(硬化剤):7(薄め液)と明記されていた場合は主液100mlに対して硬化剤は10ml薄め液は70ml塗料の総合計180mlとなります。
混合比はすべて主液を元に計算していくのが一般的です。

2液性塗料は1度硬化剤を入れてしまうと、数時間後に硬化してしまい、余っても再利用できませんので、塗料を作りすぎないように注意しましょう。

Step3:粘度の確認

塗料とうすめ液を混ぜ合わせた後、適切な粘度かどうかを確認します。粘度確認用のカップに混ぜ合わせた塗料をすくい上げ、粘度カップの下から塗料が流れ始めてから、何秒間で粘度カップの塗料が無くなるのかを計測して粘度を確認できます。

塗料によって適切な粘度に違いがありますので、説明書で確認して測定してください。

Step4:テストスプレー

塗料の作成が終了しましたら、塗装対象物に塗装する前に、段ボールなど汚れてもいいものに、テストスプレーします。エアー圧・塗料調整つまみ・パターンつまみの3つのつまみを調整してテストスプレーを実施します。
キレイに吹き付ける目安1:対象物からスプレーガンとの距離は10㎝から15㎝がベスト

キレイに吹き付ける目安2:対象物から斜め45℃の角度で吹き付けましょう

キレイに吹き付ける目安3:エアー圧は対象物のダンボールがエアー圧で飛ばされてしまうほど強いのは    NG、エアーのみを肌に当てて肉が若干凹む程度がベスト。

キレイに吹き付ける目安4:パターン調整つまみは、噴射霧が縦に10㎝程度がベスト。

キレイに吹き付ける目安5:テスト吹きしたときに塗料が霧状で塗着していればOK、粒子が大きかった
り逆に粒子が細かすぎてダンボールに付着していなかったりした場合は、塗料調整つまみとエアー圧を調整してみましょう。
粒子が大きく付着した場合は、塗料の出る量が多すぎるか、もしくはエアー圧が弱いかのどちらかになります。
逆に粒子が細かすぎて付着していない場合は、塗料調整つまみを絞りすぎているか、もしくはエアーが強すぎるかのどちらかになります。

ダンボール等でテスト吹きをしたら、塗装を開始しましょう。

スプレーガンを使った吹き方のYouTubeがありますのでそちらを参考にしてみてください。

スプレーガン用の塗料を作る時の注意点は?

スプレーガン用の塗料を作成する時に、注意すべき点が3つあります。塗料を希釈するときや、塗装後のスプレーガンの洗浄について解説していきますので参考にしてみてください。

スプレーガンのノズル口径が異なる

スプレーガンで吹き付ける際に、塗料の粘度が高いものに対し、スプレーガンのノズル口径が小さいものを使用すると、スプレーガンが目詰まりを起こす可能性があります。

下地塗装用のサーフェイサーなど、粘度が高い塗料を使用するときは、自分の持っているスプレーガンの口径が適切か確認しましょう。
※粘度が高く感じた場合は口径を大きい物に変える前に、まずは希釈を多くして塗料粘度下げることを試みましょう。

塗料によって希釈用のうすめ液が異なる

塗料の種類に応じて、うすめ液も変更しなければなりません。
例えば、アクリル塗料にはアクリルシンナー、ウレタン塗料にはウレタンシンナーを使用します。

適切なうすめ液を使用しないと、塗料がプリン状になってしまったり、塗料と薄め液が混ざり合わなかったりします。専用薄め液を使用しないと塗料の持っている機能を十分発揮しませんので間違えないようにしてください。

スプレーガン使用後はしっかり洗浄

スプレーガンを使用したあとは、内部に残った塗料を必ず洗浄しましょう。塗料が硬化してしまうと、スプレーガンの故障の原因や目詰まりを起こす可能性があります。

洗浄方法は、下記の工程をスプレーガン使用後に速やかに洗浄することをおすすめします。

  • 残った塗料を捨て、洗浄用のシンナーを塗料カップに入れる
  • 吹き出し口にウエスをあてた状態で吹き付けることで、空気が逆流状態になり内部がキレイになる
  • 空気を逆流させたあと、通常通りシンナーを吹き付け、シンナーに塗料が付かなくなったら完了

スプレーガンの洗浄の仕方のYouTubeがありますのでそちらを参考にしてみてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
この記事では、スプレーガンで使用可能な塗料と、塗料の作り方について解説してきました。
塗装を成功させるうえで、最初の工程が塗料作りになります。

仕上がりを左右する大切な工程ですので、塗料を作成する前に説明書をよく読み、作業手順を間違えないように気を付けてください。

また、1液性塗料か2液性塗料かによって、うすめ液で希釈するタイミングも異なります。最初のうちは、塗料づくりの経験が無いので、感覚で塗料を作成しようとすると失敗のリスクが高まりますので、塗料の計量をしっかり行い、確実に作成しましょう。


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