スプレーガンの洗浄方法|洗浄用シンナーだけ良いの?性能を保つポイントを解説


スプレーガン塗装では、塗装中に塗料の色替えや塗装終了時のスプレーガンのメンテナンスなどで、ノズル内部や塗料カップに残った塗料を洗浄する必要があります。
洗浄を怠ると塗料が詰まったり、安定した塗布量が得られなかったり、
とても重要なポイントとなりますので、しっかりとマスターをして常に綺麗な状態で使用することをお勧めします。

しかし、「スプレーガンの洗浄を行いたいけど、洗浄方法がわからない」
「洗浄手順や洗浄に必要なものは?」
「安定した塗装が行えるように、使用後のメンテナンス方法は?」など

スプレーガンの正しい洗浄方法は意外と分かりづらいものが多く存在します。この記事では、こういった疑問や不安にすべて応えし、スプレーガンの洗浄手順や性能を保つポイント、洗浄用シンナーの選び方などについて解説していきます。

目次

1.【How to】スプレーガンの洗浄方法を紹介!
 1-1:スプレーガンの洗浄に必要なものは?
 1-2:重力式スプレーガンの場合|洗浄方法と手順
 1-3:吸上式スプレーガンの場合|洗浄方法と手順
2.スプレーガンに固着した塗料を分解して洗浄する方法
 2-1:スプレーガンの分解洗浄で用意するもの
 2-2:剥離剤を使用したスプレーガンの分解洗浄は必要?
3.スプレーガンの洗浄用シンナーの選び方
 3-1:ラッカーシンナーの価格による比較
 3-2:洗浄用シンナーに新液と再生品の比較
 3-3:洗浄用シンナーだけでスプレーガンは洗浄できるのか?
4.スプレーガン洗浄機を使用した洗浄とは?
5.まとめ

【How to】スプレーガンの洗浄方法を紹介!

ここでは、スプレーガンの洗浄方法と必要な道具、手順について解説します。

スプレーガンの洗浄に必要なものは?

スプレーガンを使用後は、すぐに洗浄することが大切です。また、塗料を入れ替える際にも洗浄が必要です。

洗浄に必要なものは次の通りです。


スプレーガンの塗装作業が完了したら、必ず洗浄するようにしてください。洗浄しないと塗装が内部で固まりニードル弁が抜けなくなったり、空気キャップに塗料が詰まることによるパターン不良やエアー不良による、使用不能になる事があります。

重力式スプレーガンの場合|洗浄方法と手順

手順1:洗浄用シンナーで塗料カップ内部を洗浄する
塗料カップ内部に付着した塗料をブラシなどを使って洗います。その際に、まずは汚れたシンナー
で軽くうがいさせる。捨て吹きしていきましょう。
その際カップについた塗料は綺麗に専用ブラシで擦っておきましょう。

手順2:洗浄用シンナーで捨て吹きを行う
塗料カップ内部の洗浄が終われば、再度新しい洗浄用シンナーを入れて、捨て吹き(2~3回)を行います。
ノズル内部に残った塗料も、綺麗に洗浄することが可能です。

手順3:空気キャップ全体をウェスで覆い、捨て吹きを行う
空気キャップについた塗料もブラシで取り除き、併せて空気キャップを外した内部塗料ノズルなどブラシで綺麗にブラッシングしていきましょう。

手順4:ノズル、空気キャップ、塗料調整ねじ、ニードル弁/バネを取り外す
スプレーガンの各種パーツを取り外し、洗浄用のシンナーにつけてブラッシングを行い細部まで洗浄します。この際、ニードル弁などは傷つきやすいので先が曲がったり変形しないように十分に注意していきましょう。

手順5:元通りに組み立てる
外したパーツを元通りに組み上げれば洗浄は完了です。
スプレーガン購入時に付属しているパーツ表を参考に分解組み立てを行ってください。
組み上げの際に、可動部などは少量のメンテナンスオイルなどを塗布することで動きがスムーズに保ち
かつ次に吹く塗料が弾くくとが無くなります。

吸上式スプレーガンの場合|洗浄方法と手順

吸上式スプレーガンは、重力式と異なり塗料カップを付け替えることが可能です。
そのため、塗料カップを洗浄する必要はなく、スプレーガン本体を洗浄用シンナーで捨て拭きを行うだけで、スプレーガンの洗浄が完了します。

塗料カップの洗浄が不要であるため、塗料の色替え時などもとても素早く行うことが可能でありとても便利に作業を行うことが可能です。

スプレーガンに固着した塗料を分解して洗浄する方法

ここでは、塗料がスプレーガンに固着してしまった場合に、細部まで分解し塗料の剥離剤を使用した洗浄方法をご紹介します。

スプレーガンの分解洗浄で用意するもの

スプレーガンに、完全固着してしまった塗料を取り除くには、「剥離剤」を使用します。「剥離剤」とは、金属、ガラス、プラスチックなどの表面から塗装や接着剤などを取り除く薬剤のことで、塗装不良品に再塗装を施す際の下準備などにも使用されます。

「剥離剤」を使用する際、「ゴム手袋」は必須となります。強力な溶剤であり、皮膚に直接触れてしまうと刺激痛があり皮膚が弱い人では火傷に似た症状が現れることがありますので、取り扱いには十分に注意してください。
また剥離剤を使用する場合は、ASSYパーツにはパッキンなどが使用されていることがあり、剥離剤によって切れたりすることもあるため事前にパーツ表を調べておく必要があります。

剥離剤を使用したスプレーガンの分解洗浄は必要?

スプレーガンには多くのEリングやネジが取り付けられており、分解作業が非常に手間がかかります。

「分解して作業するのはうんざりだ!」
「塗装後に薄めの洗浄用シンナーを吹いて終わり」という洗浄方法が一般的です。

洗浄用シンナーを瓶に100ml程度注ぎ捨て吹きするだけでも塗料は十分に除去されているため、通常の使用では、剥離剤を使用してまでの洗浄は不要であると言えます。

ただし、ノズル内部や塗料カップなどに完全に固着してしまった塗料は、洗浄用シンナーだけで落とし切ることが難しく、細部まで分解して洗浄を行う必要があります。

スプレーガンの洗浄用シンナーの選び方

ここでは洗浄用ラッカーシンナーの価格による比較、新液と再生品、メリットなどを解説します。
説明に入る前にこれだけは知っておいてほしい内容になります。
※ラッカ塗料を使用した場合は、ラッカ薄め液もしくは洗浄液アセトンにて洗浄
※ウレタン塗料を使用した場合の洗浄はウレタン専用薄め液もしくは洗浄液アセトンを使用
※水性塗料を使用した場合の洗浄は水を使用
といったように使用する塗料の種類によって洗浄液を変える必要があります。
塗料別による洗浄・希釈溶剤の説明ページもございますので、理解したうえで下記の内容をご確認ください。

ラッカーシンナーの価格による比較

特徴通常ラッカーシンナー洗浄用シンナー
成分新液再生品
溶解力
品質の安定性✖️
乾燥のスピード
臭い⚪︎✖️
値段✖️

スプレーガンの洗浄用にラッカーシンナーを選ぶ際には、作業現場のニーズや予算、作業効率などを考えて適切な選択をすることが重要です。値段の高い高級なシンナーは品質の安定がありますが、コストがかかります。一方値段の安いシンナーは予算を節約できますが、品質や臭いの問題に注意が必要です。
洗浄する溶剤は安価(再生品)でも良いと思いますが、使用量をケチらずにしっかりと洗浄することをお勧めします。
スプレーガンは洗浄が命といえるでしょう。

洗浄用シンナーに新液と再生品の比較

再生品(リサイクルシンナー)とは、使用済みのシンナーを再生処理し再利用できる状態にしたものを指します。再生処理する際に、様々な溶剤が混在してしまっているため、不純物が多く溶解力が不安定であり不具合の可能性があります。

洗浄作業には強力な溶解力が必要です。新液は高い溶解力を持ち、臭いが少ないのが特徴です。これに対して、再生品は低コストで速乾性があるが、臭いが強いことがあります。

洗浄用シンナーだけでスプレーガンは洗浄できるのか?

洗浄用のシンナーは価格が安くスプレーガンの洗浄にも広く利用されています。色替えの際の簡易洗浄から定期的な分解洗浄まで、洗浄用シンナーだけで済ませることも可能です。

ただし、洗浄用シンナーに加えて、定期的に本洗浄として溶解力が安定している新品の溶剤を併用することでブツ不良を減らせた事例もあります。

そのため、ブツ不良など塗装トラブルが発生しているが発生している場合は、新品の溶剤による洗浄方法を検討することもおすすめです。

スプレーガン洗浄機を使用しての洗浄とは?

以下では、スプレーガン洗浄を自動で行うことができる、「スプレーガン洗浄機」についてご紹介します。設備を導入する費用はかかりますが、手間を大幅に省くことが可能です。

スプレーガン洗浄機のメリット

スプレーガン洗浄機を使用すると、洗浄液に浸す時間や、細部を洗浄する手間を省くことが可能であり、洗浄時間を短縮することができます。また、スプレーガン内部のパッキン類が洗浄液に触れる時間が減ることで、パッキンの寿命も延びます。

スプレーガン洗浄機には、エアーブロー機能が搭載されものもあり、洗浄後にガン内部の洗浄用シンナーを効率的に除去することも可能です。

ただし、洗浄用シンナーを循環させて使用するため、洗浄用シンナーがすぐに汚れると交換しないといけないため、その手間がある点はデメリットとなります。

個人的には洗浄する手間を省くより、スプレーガンの構造や洗浄方法を理解するうえでも、ご自分で愛情をもって洗浄することを推奨します。
美容院でハサミが「命」と聞きます。塗装はスプレーガンが「命」もっと言えば洗浄が命と言っても過言ではありません。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
この記事では、スプレーガンの洗浄方法等を解説してきました。スプレーガンを使用後は、すぐに洗浄することが大切であり、定期的なメンテナスがスプレーガン自体の寿命を大幅に伸ばすことができます。

また、スプレーガンの洗浄方法のYouTubeにて説明しています。
参考になれば幸いです。
スプレーガンの洗浄方法 https://youtu.be/5lWoZiiQ1mk?si=gieYh4qhJzopzNht
私の使用しているスプレーガンは10年以上使用している愛着のあるスプレーガンです。

洗浄用シンナーの選び方や、具体的な手順を合わせて解説していますので
ぜひ参考にしてみてください。


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