【徹底ガイド】ウレタン塗装の乾燥時間|強制的に乾燥させる方法はある?


ウレタン塗料は様々な材質のものに塗装が可能なので、DIYにウレタン塗料の使用を検討している方も多いと思います。そんな中、塗装の計画を練るためには、ウレタン塗料の乾燥時間を知る必要がありますが、以下のような疑問も浮かんでくると思います。

「ウレタン塗料の乾燥時間が分からない」
「気温や気候によって乾燥時間が変わるのか知りたい」

この記事では、ウレタン塗料の乾燥に関する疑問を解説し、具体的な乾燥時間についてもお伝えしていきます。この記事を読めば、ウレタン塗料の乾燥時間の目安を知ることができますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

1.ウレタン塗装の特徴とは?
 1-1:ウレタン塗料は季節によって乾燥時間に違いがある
2.ウレタン塗料の乾燥時間
 2-1:接触乾燥時間|表面を指で触れるくらい
 2-2:表面乾燥時間|表面がしっかり乾燥する
 2-3:完全完走時間|内部まで完全に乾燥する
3.乾燥時間に影響を与えるのは気温だけではない
 3-1:塗装の厚さ
 3-2:硬化剤などの希釈量
 3-3:湿度
 3-4:乾燥時の通気性
4.ウレタン塗料を早く乾燥させる方法はあるの?
5.まとめ

ウレタン塗装の特徴とは?

まずは、ウレタン塗料について解説します。

ウレタン塗料はウレタン系樹脂を主成分にしている塗料で、硬度の高い塗膜や粘りのある塗料、弾力のある塗膜やまたは艶消し塗料など、たくさんの種類があり、用途によって使い分けるることができるので、多くつかわれてる塗料の一つだと思います。
また高い耐久力と耐摩耗性に優れており、ひび割れに強いのが特徴です。

光沢のあるものを使用すれば、高級感を演出でき、自動車や自転車、家具など幅広く利用されています。
艶消し塗料を使えば今流行りのシックな艶消し仕上げなど演出できるのも特徴です。

ウレタン塗料は季節によって乾燥時間に違いがある

ウレタン塗料の乾燥時間は、季節や気候によって大きく左右されます。

夏季は気温が高いときは塗料の乾燥が早くなりますが、冬季は気温が低いので乾燥が遅くなります。

これだけ聞くと、夏季に塗装して早く乾燥させた方が良いように思いますが、気温が高すぎる時に塗装すると、乾燥が早すぎて塗膜内の泡抜けができなかったり、レベリングが悪くなったりすることもありますので注意が必要です。

具体的には、夏季は30℃以上、冬季は5℃以下の時は塗装しない方が無難でしょう。

ウレタン塗料の乾燥時間

ここからはウレタン塗料の乾燥時間の目安について解説していきます。

乾燥には工程があり、表面を指で触れるくらいまでに乾燥する時間を「指触乾燥時間」ししょくかんそう、表面がしっかり乾燥するまでの時間を「表面乾燥時間」、内部まで完全に乾燥する時間を「完全乾燥時間」として紹介します。

乾燥レベル表面の状態目安の乾燥時間
指触乾燥時間表面を指で触れるくらい常温(20℃)で約20分程度
表面乾燥時間表面が乾燥する常温(20℃)で約1〜3時間
完全乾燥時間内部まで完全に乾燥する常温(20℃)で約5~7日

ただし、塗料メーカーによって乾燥時間に違いがあり、気温や湿度、塗膜厚によっても乾燥時間は左右されますので、あくまで参考値としてご覧になってください。

指触乾燥時間|表面を指で触れるくらい

表面を指で触れるくらいまで乾燥する「指触乾燥時間」ですが、適温(約20℃)で塗装すると約20分程度で触れるようになります。

ただし、完全に乾燥しているわけではないので、強く触ると指紋がつく可能性があるので触る場合は、慎重に触るようにしましょう。

表面乾燥時間|表面のみが乾燥する

表面が乾燥する「表面乾燥時間」の目安は、適温(20℃)で約1〜3時間です。

1液ウレタン塗料と2液ウレタン塗料によっても乾燥時間に違いが出るため、表面乾燥時間に幅があります。

各メーカーの説明書に詳しい乾燥時間が書いてあるので、最終的にはそちらをご覧ください。

完全乾燥時間|内部まで完全に乾燥する

最後に、内部まで完全に乾燥する「完全乾燥時間」ですが、適温(20℃)で5~7日が目安になります。

内部まで乾燥するには、かなり時間がかかり気温が低いと2週間~1ヶ月ほどかかる場合もあります。

適温でも乾燥に1週間近くの時間を要するので、塗装を計画する際は、余裕をもったスケジュールを組むのがおすすめです。

乾燥時間に影響を与えるのは気温だけではない

ここまで、気温によって塗装の乾燥時間に影響が出ることはお伝えしましたが、他にも影響を与える要因があります。

次に、その他の要因を4つ紹介しますので、乾燥工程の時に意識してみてください。

他の要因1:塗装の厚さ

1つ目の要因は塗装の厚さです。

塗装の厚さは乾燥時間に大きな影響を与え、塗料を厚く塗りすぎると、完全に乾燥するまで時間がかかります。

また、塗装は重ね塗りをする場合もありますが、重ね塗りの回数が多ければ多いほど、完全乾燥に時間がかかります。
重ね塗りをし場合の完全乾燥時間は常温20℃で約1週間~2週間

どのような仕上がりにするかで重ね塗りの回数は変わるかと思いますが、重ね塗りを多くする予定であれば、乾燥時間は十分にとることが重要となります。

他の要因2:硬化剤などの希釈量

2つ目の要因は、硬化剤や薄め液の希釈量です。

2液ウレタン塗料は硬化剤を塗料に混ぜますし、油性や水性といった種類の違いで溶剤や水で希釈する場合が多いと思います。

希釈量は多くても少なすぎても乾燥時間に影響を与えるので、必ず説明書に書いてある希釈率、混合比を守りましょう。
※硬化剤を多く入れれば早く固まるとか硬度が出るとか勘違いしている方が多く見られます。硬化剤は多すぎても少なすぎても本来ウレタンが持っている対候性が保つことができませんので、混合比をしっかり守ることが重要になります。

他の要因3:湿度

3つ目の要因は湿度です。希釈率と同様に高すぎても、低すぎても塗装の乾燥に影響を与えます。

塗装の乾燥に適した湿度は30~70%で、この範囲内であれば塗料自体に影響も無く、乾燥もスムーズにおこなえます。

湿度が80%を超えた状態で塗装をおこなってしまうと、乾燥が遅くなるうえ、水分が混ざってしまい、塗装が白濁(かぶり現象)を起こす可能性が高まりますので、湿度が80%を超えたら塗装を避けたほうがよいでしょう。

他の要因4:乾燥時の通気性

4つ目の要因は通気性です。塗装する場所の通気性が悪いと、乾燥に時間がかかってしまいます。

理由は、塗料が乾燥するときに水分や溶剤が蒸発するのですが、蒸発した水分が塗装物の周りに滞留していると、水分が邪魔をして塗装の乾燥が遅くなるからです。

通気性が良い場所で乾燥できれば、塗装物の周りに水分の滞留が無くなりますので、乾燥時間が短くなります。
※風が強すぎても塗膜のレベルリングが悪くなるため、そよそよ程度の風が一番ベストかと思います。

ウレタン塗料を早く乾燥させる方法はあるの?

完全乾燥には時間がかかることは先ほどお伝えしましたが、スケジュールの都合で早く塗装の乾燥を終わらせたい方も多くいらっしゃると思います。

ここからは、少しでも早く乾燥する方法を3つ紹介していきます。

温度を高めに保つ

1つ目は温度を高く保つことです。

気温が高いと乾燥が早いと解説しましたが、塗装した時の温度が低い場合、作業場の温度を上げることで乾燥時間を短縮できます。

作業場がそれほど広くなければ、ヒーターなどで60℃位で2~3時間乾燥させればほぼ完全乾燥します。

作業場全体を暖めることが難しければ、カーボンヒーターなどで塗装を暖める方法がありますが、塗装にカーボンヒーターを近づけすぎると、塗装が焦げたりしますので、やんわりと暖められるような位置に設置するようにしましょう。
※100℃以上にならないように心掛けましょう。

適切な湿度に保つ

2つ目は適切な湿度を保つことです。

基本的に湿度が高い時は、塗装は避けた方がいいということが前提ですが、湿度をコントロールすることで、ある程度乾燥を早めることができます。

湿度が高い場合は、除湿器などを使用して湿度を下げれば、白濁やカブリ現象を抑えることができます。

ただし、作業場が広いのに容量の小さい除湿器を使用しても湿度のコントロールは難しいので注意してください。

サーキュレーターなどを使用し空気の流れを作る

3つ目は、空気の流れを作って通気性を良くすることです。

塗装の乾燥には通気性が大切なことも説明しましたが、作業場の通気性が悪い時は、サーキュレーターなどを使用することで乾燥を早くできます。

注意してほしいのは、塗装物に直接風を当てるのではなく、あくまで風の流れを作ることです。直接風を当ててしまうと、乾燥前の塗装の表面が波うってしまう可能性があり、塗装をやり直さなければいけなくなります。

また、風を強くしすぎるとゴミや塵が舞ってしまい、塗装に付着してしまうかもしれないので、サーキュレーターは弱風で使用しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
この記事では、ウレタン塗料の乾燥に関する疑問を解説し、具体的な乾燥時間についてもお伝えしてきました。

ウレタン塗料の表面が乾燥するまでの時間は1~3時間程度ですが、完全に塗装を乾燥させるには5~7日とかなりの時間が必要となります。

また、乾燥時間に影響を与える5つの要因「気温」や「湿度」だけでなく、塗料の希釈量や通気性、塗膜の厚さなども関係してくるため、一概にこの時間待てば良いというものでもありません。

塗装の乾燥に時間を短縮したい場合には、ヒーターを使用したり、サーキュレーターを使用するなど工夫することができますが、風邪が直接当たらないようにするなどの注意が必要です。

この記事でご紹介した内容を、ぜひ覚えて頂き今後の塗装作業の効率向上に役立ててください。

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