ウレタン塗装の耐熱温度は?|バイクのエンジンカバーにも塗装できる


ウレタン塗装は、ウレタン樹脂を主な原料とした塗装で弾力性に富み防水性にも優れていることから、車の塗装や外壁などにも幅広く使われています。

比較的安価に手に入れられるアイテムなので、個人で利用がしやすいこともポイントでしょう。

多くの場所で用いられるウレタン塗装ですが、温度が高くなる部分にも使えるのか気になる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、バイクのエンジンなど高温になる場所にウレタン塗装を使用したい方に向けて、その特性や耐熱温度について解説します。

目次

1.ウレタン塗料の耐熱温度はどれくらい?塗料の特徴を解説!
 1-1:特徴1つ目:耐久性や弾力性について
 1-2:特徴2つ目:水性と油性の違いは?
 1-3:特徴3つ目:硬化剤の混合タイプは?
 1-4:特徴4つ目:耐熱温度・耐用年数の目安は?
 1-5:特徴5つ目:ウレタン塗料が良く使用されている場所
2.バイクのエンジンカバーにも塗装が可能!
 2-1:水冷エンジンであればエンジンカバーへの塗装が可能
 2-2:高温になる部位に使うなら、2液混合型ウレタン塗料がおすすめ!
3.【手順】エンジンカバーに塗装する際のポイント
4.まとめ

ウレタン塗料の耐熱温度はどれくらい?塗料の特徴を解説!

まずは、ウレタン塗装についての特徴を整理します。

塗料には、用途に応じて様々な種類があり、どの用途にウレタン塗装が適しているか判断してみてください。ウレタン塗料と並んで使われることの多いシリコン系樹脂塗料との比較を基本に解説します。

塗料メリットデメリット
ウレタン塗装・弾力性があり、ひび割れしにくい
・さまざまなものに塗装できる
・価格が低めである
・耐候性は中程度
・紫外線に比較的弱いものが多い
シリコン塗装・耐熱性に優れている
・耐久性が高い
・光沢がある
・ひび割れしやすい
・価格が高めである

特徴1つ目:耐久性や弾力性について

ウレタン塗料は、シリコン塗料と比べると弾力性があり、防水性、撥水性にも優れています。

そのため、例えば外壁などで使用された場合に水の侵入を防ぐ効果が期待できます。

その一方で、柔らかい素材であることから傷がつきやすく、紫外線にも弱いことから、変色が起きやすい特性があります。

特徴2つ目:水性と油性の違いは?

ウレタン塗料には水性と油性の2種類があります。

水性ウレタンは文字通り水に溶かして使うタイプです。
「水性」となっていますが、乾いた後であれば水に溶けてしまうという心配は要りません。また、油性に比べると臭いが少ないことも特徴となります。

一方の油性ウレタンには耐久性が高いという特徴があります。
水性に比べると臭いが強く、気密性の高い場所での使用には適していません。

水性と油性の使い分けに絶対的なものはありませんが、屋内での使用には臭い刺激の少ない水性が適しており、屋外の雨風にさらされるものには耐久性のある油性が良いでしょう。

ただ、現在では人体への害が少ない水性の需要が高くなってきています。

特徴3つ目:硬化剤の混合タイプは?

ウレタン塗料には1液タイプと2液タイプがあります。

先に紹介した水性の塗料は、そのほとんどが1液タイプとなります。

1液タイプのウレタン塗料は他に硬化が櫃よないため使用が簡単です。

塗料が余ったとしても、あとで使うこともできます。

価格的にも1液タイプの方が低いです。

2液タイプのウレタン塗料は、塗料と硬化剤を混ぜて使うもので、1液タイプと比べて耐久性が高いことが一番の特徴といえます。

混ぜる前であれば硬化しないので、保管もしやすいです。

特徴4つ目:耐熱温度・耐用年数の目安は?

ウレタン塗料の耐熱温度は約120〜130度とされています。一般的な合成樹脂系塗料の耐熱温度が70度前後といわれていますので、比較的高い部類となります。

ただ、シリコン塗料は200度以上の耐熱温度がありますので、130度以上の高温になる場所に塗装する場合はシリコン塗料の方が優位になります。

耐用年数については、一般的にウレタン塗装では 6〜7年程度です。
(艶があるタイプのものは2~3年ほどで艶が落ちます)

一方、シリコン塗料の耐用年数は約10年といわれています。塗り直しがしにくいものなどについても、耐久性の観点ではシリコン塗料が適しているとも言えます。

特徴5つ目:ウレタン塗料が良く使用されている場所

ここまで触れてきたように、ウレタン塗料はその耐久性と弾力性、防水性からさまざまな場所で使用されています。

建物の外壁や屋根、床などのほか、車やバイクの塗装にも利用されています。

分野使用箇所使用するメリットは?
建築分野外壁や屋根、床などの塗装ひび割れに強く、耐候性が高い
自動車分野ボディなどの塗装補修や光沢の保持性、腐食を防ぐコーティング効果

バイクのエンジンカバーにも塗装が可能!

バイクのエンジンなどの高温になる部分に塗装をする際、ウレタン塗料は使えるのでしょうか。

結論的には、使用することができます。

以下、詳しく解説していきます。

水冷エンジンであればエンジンカバーへの塗装が可能

バイクに限らずエンジンは、内部でガソリンなどの燃料を爆発させてエネルギーを得ているため、当たり前ですが高温となります。

そのため、冷却する仕組みが備わっているわけですが、バイクに関していえば「水冷式」と「空冷式」の冷却方法があり、現在のバイクのほとんどは冷却効果の高い水冷式となっています。

水冷式のエンジンであれば、マフラーやシリンダーなど一部の場所を除き、ウレタン塗装が耐えられる表面温度となりますので使用することが可能です。

高温になる部位に使うなら、2液混合型ウレタン塗料がおすすめ!

バイクのエンジンなどの高温になる部位の塗装には、硬化剤を用いる2液タイプのウレタン塗料が向いています。2液混合型ウレタン塗料は硬化剤を用いて塗料を固めるため、1液タイプと比較して高い耐久性が期待できます。

【手順】エンジンカバーに塗装する際のポイント

塗装手順をご紹介します

バイクのエンジンを塗装する場合の、大まかな手順を確認しましょう。

  1. エンジンの表面にやすりをかける
  2. エンジンの周りを保護する
  3. 脱脂する
  4. 塗装する
  5. 乾かし、硬化させる

また、バイクのエンジンの塗装を屋外で行う際は、風のない日を選びましょう。風が強いときれいに散布できないばかりか、マスキングをした範囲を超えて塗料が飛び散ってしまいます。

それでは手順別に確認していきましょう。

手順1:エンジンの表面にやすりをかける

エンジンの表面を紙やすりなどで磨いていきます。

紙やすりは粗い番手から細かい番手へと順に進めます。

目安ですが、240番→400番→1000番の順番で行うと良いでしょう。

下地の良し悪しで塗装のできが変わるので、丁寧に作業を行ってください。

手順2:エンジンの周りを保護する

塗装を始める前に、塗装をしたくない部分をマスキングします。

他にも、プラグキャップは抜いて塗装が入り込まないよう穴にペーパーを詰めておきます。

エンジンオイルを確認する点検窓を塗装してしまわないよう、忘れずにマスキングを行ってください。

手順3:脱脂する

エンジン表面に油分があると塗装の付着が悪くなりますので、シリコンオフで脱脂します。

手順4:塗装する

シリコンオフが乾いたら、いよいよ塗装となります。

エンジンから30cm程度離れた位置から、均一になるように吹きかけていくのがポイントです。

一度に塗装をするのではなく、何度かに分けて重ね塗りをしてください。

急いで吹きかけてしまうと垂れたり、ムラができたりします。

時間に余裕をもって作業にあたりましょう。

手順5:乾かし、硬化させる

塗装が終わったらしっかりと乾燥させます。

一般に、ウレタン塗料は表面乾燥には約6〜8時間、完全硬化には24〜48時間かかるといわれています。(温度や湿度にもよります)

乾燥の時間を十分にとることに加え、その間にほこりなどが付着しないように気を付けてください。

塗装後すぐにエンジンをかけて熱してしまうと、塗装が膨れることがありますので、ここでも焦りは禁物です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

ウレタン塗料は比較的手に入りやすい塗料でありながら、柔軟性や防水性、揮発性に優れ、さらに130度程度までの耐熱性も兼ね備えています。

そのため、建物や車の塗装など雨風にさらされるハードな条件でも使用されています。

また、一部の極端に高温になる箇所を除けば、バイクのエンジンなどにも用いることが可能です。

ウレタン塗装には水性・油性、また1液・2液タイプと種類が分かれていますので、ご自身の目的にあった塗料を選ぶようにしましょう。

ぜひお気に入りのアイテムに塗装をして、カッコよく仕上げてください。


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