【保存版】スプレーガン塗装に最適な塗料の粘度とは?重要性を解説します!
塗装方法の1つに、スプレーガンを使用する方法がありますが、原液のままでは塗料の粘度が高すぎるため、作業前に塗料を薄める必要があります。一口に塗料を薄めると言っても、塗料の種類は豊富にあり、種類ごとに塗料の薄める量も様々です。
そのため、塗料の適正な粘度にするための方法が分からずに、戸惑う方も多くいらっしゃるかと思います。
「塗料はどのくらい薄めればいいの?」
「何を使って塗料を薄めればいいのか分からない」
このような悩みを解消するためにこの記事では、塗料を適切な粘度にする方法や、希釈率の目安を紹介します。なぜ、塗料を薄めないといけないのかも併せて説明しますので、塗料についてより理解を深められると思います。
目次
1.塗料の粘度が不適切だとどうなるの?
1-1:キレイな仕上がりにならない
1-2:塗料が早期劣化し対象物を保護できなくなる
2.【参考値】塗料の粘度と希釈率の最適値は?
2-1:塗料の粘度と希釈率一覧表
3.塗料を薄めるときは適切な薄め液を使用する
4.気温や液温によって粘度と希釈率は変化する
5.まとめ
塗料の粘度が不適切だとどうなるの?
出典:plxabay
最初に、塗料を適切な粘度にしなければならない理由について説明します。塗装は対象物をキレイにするだけでなく、水分や汚れから守る重要な役割があります。
適切な粘度にする理由が分からないまま作業しても、正しい薄め方ができないので、塗装失敗のリスクが高まるでしょう。
キレイな仕上がりにならない
冒頭でも少し触れましたが、原液のままでは塗料の粘度が高すぎるので、薄める必要があります。塗料の粘度が高いまま塗装してしまうと、塗料が広がりにくくなるので、ゆず肌サメ肌などのムラが発生する可能性が高まります。
また、塗料の粘度が高すぎることがスプレーガンが詰まってしまうったり、塗料の粘度が低すぎると塗膜厚が薄くなったり、塗料が垂れてしまう原因になります。
塗料が早期劣化し対象物を保護できなくなる
塗料には耐用年数があり、塗料を適正な粘度に希釈しないと耐用年数よりも早期劣化してしまう可能性があります。
塗料の粘度が高すぎる場合は、塗料の伸びが悪くなるため気泡が発生しやすくなります。その結果、塗装対象物とのすき間ができてしまい密着力が無くなり早期劣化してしまいます。
反対に、塗料の粘度が低すぎて、塗料本来の性能が失われてしまうため、早期劣化が発生します。
塗料が早期劣化してしまうと、塗装対象物を守る役割を果たせなくなってしまうので、塗料を適切な粘度にする必要があります。
【参考値】塗料の粘度と希釈率の最適値は?
出典:写真AC
塗料の粘度や希釈率は、各塗料によって様々です。分かりやすいように、各塗料の粘度と希釈率の参考値を表にまとめましたので、ご覧ください。
粘度を表す単位として、mpa・s(ミリパスカル秒)がよく使用され、1mpa・sは水の粘度と同程度です。水の粘度を基準にすると、他の塗料の粘度と比較しやすくなるので、参考に覚えておいてください。
塗料の粘度と希釈率一覧表
塗料 | 原液塗料の粘度(mpa・s) | 希釈率 | 使用する薄め液 |
---|---|---|---|
1液ウレタン塗料 | 40~50mpa・s | 20~50% | 塗料シンナー |
2液ウレタン塗料 | 40~50mpa・s | 20~70% | ウレタンシンナー |
ラッカー塗料 | 600~800mpa・s | 20~50% | ラッカーシンナー |
※気温20℃の場合の参考値です。気温によって粘度や希釈率は変化します。
※塗料を製造しているメーカーによって粘度や希釈率に差がありますので、説明書をよく読んでから希釈してください。
※2液ウレタン塗料は薄め液を使用する前に、先に硬化剤を混ぜ合わせてください。
ウレタン塗料は、水と比べると40〜50倍の粘度で、この数値はサラダ油と同じくらいの粘度ですが、ラッカー塗料は水と比べると60~80倍の粘度で、とんかつソースと同等ぐらいになります。
ウレタン塗料よりラッカー塗料の粘度は高く、スプレーガンで塗装できる粘度まで下げるには、たくさん薄める必要がありますので、希釈率が高く(薄め液の量が多く)なります。
塗料を薄めるときは適切な薄め液を使用する
出典:写真AC
塗料を薄めるときは、塗料に応じた薄め液を使用しなければなりません。
薄め液には、塗料シンナーやウレタンシンナー、ラッカーシンナーといったものがあります。
塗料 | 使用する薄め液 |
1液ウレタン塗料 | 塗料シンナー |
2液ウレタン塗料 | ウレタンシンナー |
ラッカー塗料 | ラッカーシンナー |
水性塗料 | 水 |
薄め液として使用するシンナーはそれぞれ成分が違うので、誤った薄め液で希釈すると、塗料が上手く乾燥せずに硬化不良を起こす可能性がありますので注意してください。
また、塗料の成分が分離して色が濁ってしまったり、色が変わってしまったりする恐れがあるので、説明書をよく読んで、誤った薄め液を使用しないようにしましょう。
気温や液温によって粘度と希釈率が変化する
出典:写真AC
塗料を希釈するにあたって、その日の気温を把握することも重要です。
塗料の粘度は、気温によって変化しますが、薄め液の量も気温にあわせて変更しなければなりませんので、各塗料の希釈率に幅が設けられています。
例えば、
気温が低ければ塗料の粘度が高くなるので、希釈率を高く(薄め液の量を多く)する必要があります。逆に、気温が高ければ希釈率を低く(うすめ液を少なく)しなければなりません。
作業前にその日の気候をよく確認して、薄め液の量を調整しましょう。
また、薄め液にも乾燥を早くする促進剤や乾燥を遅くするリターダーなど混ざっている薄め液を使い
夏用・冬用など使い分けするのが一般的です。
たかが薄め液、されど薄め液です。薄め液の希釈や使い分けによって仕上がりが大きく左右されることがありますので、しっかりと理解しておくが重要です。
おもしろ塗装工房では薄め液について使い分けなど説明してるページがございます。
参考にしてみるとよいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
この記事では、塗料を適切な粘度にする方法や、希釈率の目安を紹介してきました。
スプレーガンで塗装するときは、塗料と薄め液を用意しますが、スプレーガンの口径などによって希釈率を変えたりしていきます、塗料にあった薄め液を選択しましょう。
そして、もう一つ重要なのが気温です。作業予定日の気候をあらかじめ確認して、具体的な希釈率を事前に把握しておくことをおすすめします。
塗料を薄める作業がスムーズになりますし、失敗のリスクも少なくなります。塗料を正しい粘度まで希釈できるように、事前準備を入念にして、キレイな塗装を目指しましょう。
おもしろ塗装工房では、塗料メーカーでは教えてくれない塗料に合った希釈率やスプレーガンやエアブラシの種類別混合比などを商品購入時、取り説を同封しています。
取り説を参考にしていただき、ワンランク上の塗装ライフをお楽しみください。